Last updated on 2022年2月25日
この記事は、Windows PC のシステムイメージを起動ディスクと同じメディアに入れて、一つのメディアで復元できるようにする方法を説明します。
なおこの記事は、個人用の PC のバックアップを話題にしています。企業向けシステムのバックアップではありません。
この記事を書いたきっかけ
この記事を書いたきっかけは、この間、それまで動いていたチューナーボードが、Windows のアップデートがかかった後に動かなくなってしまったことです。
Windows ではよくあることなので、そんなこともあろうと思って、バックアップを取っていたにもかかわらず、起動ディスクとバックアップメディアの組み合わせがわからなくなってしまいました。
USBメモリも SSD も、4台のPC で使いまわしているためです。
最終的に、OS の再インストールをして、それでダメなら PC を新調するところまで追いつめられました。
幸い、OS の再インストールでチューナーボードが復活したのでよかったのですが、調査に丸一日と、OS の再インストールとアプリの再インストールにプラス一日を費やしてしまいました。
仕事の納期が迫っている中で、このタイムロスには本当にまいりました。
起動ディスクとバックアップメディアをきちんと管理していないのが悪いといえばその通りなのですが、その管理を邪魔する要因として、バックアップに2つのメディアが必要という30年前の考えが、いまだに改善されていないことが許せず、今後は一つのメディアで復元できるようにしました。
起動ディスクとバックアップメディアを一つにするのは Windows の標準機能ではできないので、いくつかのツールを組み合わせて実装しました。
バックアップの対象はシステムイメージ
まず、バックアップの対象を明確にします。
この記事のバックアップの対象はシステムイメージです。
いろいろなアプリをインストールしたり、新しい周辺機器をつなげたときに動かなくなった場合に、動いていた時のシステムに戻せるようにすることが目的です。
個人向け PC でバックアップというと、データを指すことが多いのですが、この記事ではデータのバックアップは扱いません。
ちなみに、データについては、システムドライブとは別のデータ用ドライブを RAID で組んで、一つのデータをミラーリングで最低2つのディスクに格納した上で、さらに NAS にバックアップしています。
Windows OS をインストールしたときは、個人用プロファイルはいつも RAID ドライブに場所を変更しています。Cドライブに置かないようにしています。
それと、クラウドはバックアップとしては使っていません。というか、何かを「作る」作業に対して、今のクラウドのスピードと機能では、まったく不十分です。
クラウドはスマホと同じアプリを使うときのパラメータ的なデータを共有する場合や、出来上がったファイルを他の人と受け渡しする場合の、一時的なデータの置き場所だと思います。
「作る」作業に耐えられるパフォーマンスが提供されるか、いずれにしても自宅環境を超えて、クラウドにデータがあってよかった、と思うくらいのサービスになったらいいのにといつも思っています。
ブータブルなバックアップメディアの作成に必要なもの
バックアップには、まず USBメモリや外部ディスクが必要です。
容量は、大きければ大きいほどいいのですが、バックアップファイルのサイズが入れば十分です。
実際に、Wiindows 10 Pro に Office関連(VisioとProjectを含む)、PDF や ZIP などのファイル表示・操作ソフト、マルチメディア関連に Evernote や iCloud など普段使うものをインストールした状態で、バックアップファイルのサイズは 22GB でした。
起動ディスクの ISOイメージは 540MB しかないので、合計で 32GB で足りました。
ソフトについてはすでに述べたように、Windows の標準機能ではブータブルなバックアップメディアを作ることはできません。
「バックアップと復元(Windows 7)」も「回復ドライブの作成」のどちらも目的は達成できませんでした。
ですので、サードパーティ製のツールを使います。必要な機能は、
- バックアップファイルを作成する。
- 起動ディスクを作成する。
は当然のこととして、加えて、
- 起動ディスクの ISOイメージをファイルに書き出す。
- 起動ディスクに ISOイメージファイルを NTFS フォーマットで書き込む。
- バックアップファイルを起動ディスクにコピーする。
機能が必要です。1番目の ISOイメージ書き出し機能は、ほとんどのバックアップソフトが提供していますが、この記事では個人用にフリーで使用できる MiniTool ShadowMaker を使います。
MiniTool ShadowMaker は、MiniTook Partition Wizard をダウンロードすると一緒に入っています。
MiniTool の他に、AOMEI でも同じことができました。
2番目がポイントなのですが、これはバックアップソフトでカバーされていない機能です。
もう少し詳しく言うと、Windows の標準機能でもバックアップソフトでも、起動ディスクは FAT32 フォーマットになります。
FAT32 の起動ディスクを NTFS にフォーマット変換することはできますが、フォーマットの変換だけだと起動できなくなります。
NTFS で起動できるようにするための方法を探したところ、Rufus という ISOイメージを USBメモリに書き込むツールを使うと、NTFS で起動できることが確認できました。
2番目をクリアできれば、後は3番目のバックアップファイルをコピーするだけです。これはエクスプローラーで普通にドラッグ&ドロップします。
ブータブルなバックアップメディアの作成方法
MiniTool ShadowMaker で、システムイメージのバックアップファイルを作る。
MiniTool ShadowMaker を起動して、画面上のメニューから「バックアップ」を選んで、バックアップファイルを作ります。
MiniTool ShadowMaker で、 起動ディスクの ISOイメージファイルを作る。
メニューの「ツール」→「メディアビルダー」へ進むと、起動ディスクの作成画面に入ります。
「オプション」をクリックして必要なドライバを追加します。
バックアップファイルを入れたドライブのドライバを入れておくと、復元のときに起動ディスクにコピーしたバックアップファイル以外のファイルにアクセスして使うことができます。
Rufus で、起動ディスクの ISOイメージファイルを USBメモリに書き込む。
Rufusを起動して、次の3点を指定します。
- 「ブートの種類」に起動ディスクの ISOイメージファイルを指定します。Rufus の画面上にドラッグ&ドロップすれば指定できます。
- 「パーティション構成」を”MBR”にします。”GPT”だとうまくいきませんでした。
- 「ファイルシステム」を”NTFS”にします。
バックアップファイルを起動ディスクにコピーする。
バックアップファイルを起動ディスクにコピーします。
今回は、Visual Studio やオープンソース系の開発用ソフトを入れる前に一回バックアップを取りました。
OS を再インストールしてから、まだインストールできていません。
これらを入れてから再度バックアップを取りたいと思います。
バックアップからの復元
こうして出来上がったブータブルなバックアップメディアが一つあれば、システムを戻したいときに簡単に復元できます。
実際に復元するときは、PC の電源投入時に DELキーで BIOS に入って起動ディスクを USBメモリにします。
または、F8キーでも起動ディスクを指定することができます。
MiniTool ShadowMaker の場合は、Windows PE が起動します。
しばらくすると MiniTool のメニューが表示されるので、復元を選びます。
補足:ダメだった方法
ここに至るまでに以下の方法を試しましたが動きませんでした。
Windows 標準の回復ドライブを USBメモリに作成して、32GBまでリサイズ(FAT32)。
→バックアップファイルのサイズが大きすぎてコピーできない。そもそも起動しない。
MiniTool ShadowMaker で起動ディスクの ISOイメージファイルを作成して、USBメモリに Rufus で GPT で書き込み。
→「No bootable media」で起動できない。セキュアブートと衝突していると思われるが、手持ちのマザーボードの BIOS に設定項目がない。